館長コラム L(2017.8)
倉吉博物館長 根鈴輝雄
今年の夏は全国的に猛暑で、体調に支障が出そうです。一方で九州や東北では大雨による水害が
深刻で、例年にも増して天候不順による被害が拡大しています。被災された各地の皆様に心よりお見
舞い申し上げます。
さて、昨年10月に発生した最大震度6弱の鳥取県中部地震で倉吉博物館も少なからず被災しました。
地震発生直後に約40日間臨時休館を余儀なくされ、その後仮復旧して断続的に開館してきましたが、
今年3月13日以降、災害復旧工事のために全面休館しておりました。この間、多くの皆様には、ご不便
とご不自由をお掛けし誠に申し訳ございませんでした。
このたび、館内の災害復旧工事が進み、ようやく8月1日をもって再開館する運びとなりました。約8ヶ
月ぶりの全面開館となります。地震に際しまして、多くの皆様からご心配やお見舞いの声を頂戴いたし
ました。飲料水など物資をお送りいただいた方もあり、温かいご支援の数々は、博物館の再開館への
エネルギーとなりました。皆様のご厚情を深く心に刻み幾重にも感謝申し上げるしだいです。
再開館後は、震災で中止となった美術部門の新収蔵品展、そして盆行事など時季に合わせた民俗
展示、考古部門では、被災後復元なった出土品を中心に展示します。また、5日(土)からは毎年恒例
の「夏休み自然科学展」を開催します。
9月には、倉吉市美術展覧会を実施。例年5月から6月に実施してきました市展も時期が遅くなりま
したが、開催できる運びとなりました。創作に励んでこられた方々や鑑賞を楽しみにしておられた皆様、
大変お待たせしました。今年は昨年鳥取中部地震で中止を余儀なくされた鳥取県美術展覧会倉吉会
場で展示する予定だった中部地区の作品を市展の開催時期に併せ展示します。
地震発生から1年を迎える10月には、企画展として、「倉吉博物館復興祈念展」を開催する予定です。
この企画展では、地震復興に役立てて欲しいと倉吉市名誉市民の人間国宝 大坂弘道氏から新たに
寄贈された作品や県保護文化財の新指定品、そして、伯耆しあわせの郷教室や鳥取短期大学絣研
究室の作品など主に工芸品を中心に展示します。
今回の地震は、倉吉市はじめ鳥取県中部に甚大な被害をもたらしました。復旧・復興に向けての取
り組みは、今も続いています。被災した鳥取県中部地区の日常生活が元の姿に戻るには、しばらく時
間がかかるものと思います。
博物館周辺駐車場の修繕など災害復旧工事全体は、10月末完了を目途に継続中です。完全復旧に
はいたっておりませんが、少しでも早く再開をとの思いで開館させていただきました。皆様のお越しを
心よりお待ちしております。
テープカット
修復済み考古資料の解説