館長コラム ⑩(2015.8)

 台風の通過とともに梅雨も明け、暑い日ざしが連日、照り付けています。「森林浴の森百選」に
選定されている打吹山のふもと、濃い緑の中に包まれている倉吉博物館は、日ざしの照り返しが優しく、窓の外にひろがる木々や芝生の緑に清涼感を感じます。

 8月1日から開催している「舘野鴻絵本原画展」は、ギフチョウや生態系の維持に欠くことのでき ないシデムシを細密に描いた生物画作家・舘野鴻(たての ひろし)さんの絵本原画を中心に、自然をテーマ として取り上げ企画したものです。緑豊かな打吹山のふもとにある倉吉博物館で 「倉吉市の緑を守り育てる条例」制定30周年を記念し開催しています。身近な自然に目を向けることで、全国にも希な「緑を守り育てる条例」が求める、自然環境の保全と緑化推進の機会になればと思います。

 先月29日の午後には、1日からのオープンに向けて舘野さん自身が 倉吉博物館にお出でにな りました。展示指導のあと、我らが里山 打吹山も散策していただきました。 博物館に戻って来られるなり、「すごい森ですね。 スダジイとモミがとっても大きくて見ごたえがありました。地元の人たちに大切に守り育てられてきた自然の森ですね」と感嘆しきりでした。
 自然に対して独自の観察眼をもっておられる舘野氏からいただいた打吹山への賛辞には、 次のようなフレーズがありました。

  「長く維持され続け威厳を醸す打吹山の自然林は、スダジイやモミの優占する
    人の手が加わらない倉吉市の緑のあり様を示すひとつの例として、これから
    も大切に守り続けられればいいな、と思います」

 この企画展を打吹山をこよなく愛する市民はもとより、多くの方にご覧いただきたいと思います。また、毎年恒例の「夏休み自然科学展」も同時開催しています。昆虫の標本や天体写真、淡水の魚が心を癒してくれます。ご家族連れで賑やかにご来館ください。

 8月30日までの企画展会期を終えた後は、 いよいよ改修工事のため半年間休館とさせていただきます。耐震補強工事と屋根外壁改修工事です。耐震補強工事は外観の大きな変更はありませ ん。石州瓦の全面葺き替えと白壁の雨水進入防止のための塗装を行います。約半年後の平成28年 3月中旬までに改修工事を終えて、年度内には開館の予定です。

 何卒、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

館長 根鈴輝雄